ニコンがメイン機種なので古レンズ遊びはニコンマウントへの改造から始めたのですが、その後M42用にペンタックスを手に入れました。更にフルサイズのD3で使うためにNFマウントに改造するかどうかを悩んでいた時代があり、4/3やミラーレスのM4/3では各種のアダプターで古レンズを使う事が出来るようになりましたがオリジナルのレンズの半分の画角に成って仕舞うのはあまりにも切ないので見送っていたら、NEXが発売されてAPS-Cの画角で我慢さえすればマウントアダプターで各種の古レンズを簡単に楽しめるようになりました。その後のミラーレスはフジのXマウントやEOS-M等色々と種類が増えてきました。その集大成として出てきたのがフルサイズEマウントのα7と言う訳ですね。そして、発売当日に手に入れたα7を今まで古レンズ用に使ってきた訳ですが、ここいら辺りで使い勝手をまとめてみようと思います。
比較的小柄な手の大きさなのでα7の大きさ私にはピッタリです。ほとんどの操作系のメカパーツ、ボタンやホイール類には全く違和感がありません。ただし、ニコンF2の時代から慣れ親しんでいるとはいえ、レリーズボタンの位置だけは一寸だけ違和感があります。軍艦部のあの位置はどうしてもネックストラップやそれ用の三角環と干渉してしまって使いよい訳ではありません。特にデジタル時代になってからはシャッターボタンがグリップ上に移動した機種が多く、あの位置だと周りに干渉するものが無いし押し込む角度もブレを少なくしてくれるので理想的だと思います。操作系の唯一の不満点ですね、α7のレリーズボタンの位置に関しては。
操作系のソフトの問題に関しては、ユーザーインターフェースは好みの問題もあるので何とも言えませんが、α99系の様なメニュー方式で特に使いにくいとは思いません。独自の設定を2パターン記憶させてすぐ呼び出せるのが良いですね。
実際の撮影作業に関しては、重大な欠点があります。古レンズ遊びと言っても古レンズの描写が必要だから使って居る訳で、面倒な操作をしたい訳ではないんですね。もちろん私の場合はですが。古レンズ遊びの好きな人には面倒な操作も楽しみの内と言う人もいますし、それはそれで良いとは思います。何が重大な欠点なのかと言うと、出来るだけ面倒な作業はカメラに任せて作画に集中したいと思うと、各種機能をオートで使います。私の場合、古レンズはAモードにしてシャッタースピードをオートで使います。更にISO感度の制御もオートにします。この設定でニコンの場合はよほど極端な場合を除き絞り環を操作するだけでほぼ一日中お気楽極楽モードで撮影が出来てしまいます。ところがα7ではこの設定ではお気楽極楽モードでは撮影出来ない場合が生じてしまいます。ニコンの場合はISOオートに設定した場合、ISO感度が上昇し始める下限のSS設定が出来るんです。ですから、オートの場合設定したSSまでは低いISO感度で撮影出来ていて、SSが下限を超えそうになると今度はISO感度が上がってSSが低下しないようにしてくれます。怠け者には非常に便利な機能なんです。
ところがα7には、α99でもそうなんですが、この下限SS設定が無いんです。装着したレンズに応じてカメラが勝手に判断して設定してくれます。ニコンでも基本は同じです。ですから専用レンズを使う限りは問題ありません。しかし、古レンズを装着した場合はカメラ側ではどんなレンズが装着されているか分からないんですね。そこで自動的に1/60に下限SSを設定してしまいます。ですから、焦点距離約60mm以下のレンズを装着して使っている時は問題は無いのですが、私の様に中望遠好き、75〜200mmがメインの人間にとっては下限SSが低すぎるんです。そこでα7で古レンズを使うときにはAモードでSSを見ながらISO感度を手動調整しないと手振れを起こしてしまいます。もちろんSモードでISOオートで使えばSSが低くなりすぎて手振れすることは防げるんですがISOオートでの調整範囲が狭すぎたり、古レンズを装着した時のα7のSモードの調光精度がよくなかったりと、実際には使えません。Sモードは本来なら絞りで露出の調整をするので、その機能が動作しなのですから、精度が悪くても文句は言えませんけれど。
古レンズのテストでは最大で明るいF1.2からF8まで5段階以上も明るさが変わりますのでISOを調整しないといけないのですが、実際の作品作りのための古レンズでの撮影では一シーンの撮影でそこまで明るさを変化させることは殆ど無いので、極端に不便と言う事は無いのですが、私にとってのα7の最大の欠点だと思います。
と言ったような訳で、ISOオート時の下限SS設定が出来ないのでニコンを使った時ほどお気楽極楽での撮影にはなりませんが、ピント合わせの精度や大きさ重さ等利点も大きいのでα7を導入した事は正解だったと思っています。
追記
お気楽極楽撮影をしたい古レンズの中望遠好きにはこの下限SS設定は必須項目なのでAPS-CなんですがフジのX-E2やX-T1の導入も一寸考えています。Speed Boosterに代表されるFocal ReducerもKiponが参入したりと色々と種類が増えています。現在NEXでやっているように今後はフルサイズには拘らずにAPS-C+Focal Reducerも一つの選択肢になってくると思います。